名前

朝 、目が覚めて、
昨晩送ったSNSへの返事を少し期待して、
アプリケーションを開いた。
既読の文字が虚しく、ディスプレイに映し出されているだけだった。

おはよう。あなた。
返事が欲しくて打っては見たものの、
結局送れずに、あなたへの想いの詰まった
このブログを読み返して気を紛らわせた。


おはよう。あなた。


そういえば、昨日友人と話した事を思い出した

〝名前で呼んだりしないの?〟

恥ずかしくて出来ないと答えたが、別の。
明確な答えも、私には見えていた。



『俺は先輩だからね。』

『ねこかんちゃんは。可愛い、後輩だから。』



〝先輩〟と〝後輩〟
きっと、あなたにに念押しされているから。

私だって、彼女のように名前で呼びたい
他の人より、少しだけでも特別でありたいよ。

そう思ってしまうのは、
いけないことなのだろうな。


彼女があなたを想っているのも。知ってる。
あなたの支えになっていることも。


そして、あなたが彼女を想っているのも知ってる。
彼女の事を好きなのも。信頼しているのも。
好きだから、格好付けたくて。
私の前で泣いても、彼女の前では気丈でいるのも。
彼女に理解されたくても、嫌われるのが怖くて、
私にしか本音が言えないだけなことも。


私に、言ってくれる〝好き〟が、
どれだけうすっぺらいものなのかも。

一緒にいると肌を突き刺す様に感じるの
こんな事、感じたくもないのに、
あなたを好きになればなる程に言葉に過敏になる。

私は本当にみんなと同じ後輩でしかない。

そう知っていたとしても。明白でも。
目を逸らしてしまっている自分が憐れで。





私は本当に、後輩なだけなのに。
特別なんかじゃないのに。
分かっているのに。いつか終わってしまうのも、
きちんと理解出来ているはずなのに。
傍になんて、いられないのに。


ただ、今、あなたと居たい。
ただ、今、あなたの笑顔が見ていたい。

これだけのために、見えている現実から
目を逸らしてしまっている。



なんて卑しい女なのだろうか。